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本号の特集は「呼吸器疾患治療の標的分子」を企画した.呼吸器疾患の中で,特に病態形成に関わる分子機構の一端が明らかにされている気管支喘息,COPD,肺癌,急性肺傷害,肺線維症,肺高血圧症,LAM,肺胞蛋白症を取り上げ,分子の病態形成における役割と治療の現状・成績・将来・治療に有益なバイオマーカーについて解説されている.疾患の病態形成に関与する分子は単一ではなく複数の分子が互いに影響し,さらに,それぞれの分子の果たす役割が病態形成の時期によっても異なるので,的確に標的分子をとらえる必要がある.本特集はこのような点を踏まえて最新の情報を提供する.綜説では,「呼吸器疾患における漢方診療ガイドライン」で冒頭に日本東洋医学会EBM委員会エビデンスレポート/診療ガイドラインタスクフォース(ER/CPG-TF),漢方エビデンスレポート2013-402のRCT(EKAT2013)を紹介し,呼吸器疾患における漢方診療の意義を解説している.心不全に関して,Bedside Teachingで循環器疾患患者にCOPD患者が約25%存在しCOPDと心不全は互いの病態に影響するため両疾患の適切な管理が重要であること,Current Opinionでは左室駆出率50%以上を呈する心不全(Heart Failure with preserved Ejection Fraction;HFpEF)について解説した.心不全は循環器医のみならず呼吸器科医にも重要であり,有益な情報である.また,Bedside Teachingでは弁膜症や先天性心疾患などの心臓構造(structural heart disease;SHD)の異常を示す心臓疾患における心エコー図検査の意義と有用性を,今一つのCurrent Opinionでは高齢者社会を迎え適応症例の増加も予測され,重要性が増すと思われる慢性期酸素療法とNPPVについて解説した.このほか,症例報告を1編掲載した.
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