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びまん性肺疾患は100疾患以上ある.これらの疾患の発生機序や治療法の解明が進んでおり,成果が蓄積されつつある.本号の特集「難治性びまん性肺疾患克服への取り組み」は,肺びまん性疾患の中でLymphangioleiomyomatosis(LAM),肺胞蛋白症,サルコイドーイス,Bronchiolitis obliterans(BO),特発性肺線維症,慢性過敏性肺炎を取り上げ,その分野のエキスパートの先生方に病因,発生機序,治療などの最新の話題について執筆していただいた.
LAMに関しては,細胞増殖抑制を目的としたmTOR阻害薬のラパマイシンによる治療法の現状を中心に解説した.LAMは進行性に呼吸機能が低下し,気胸の合併などもみられ呼吸不全に至る疾患で,有効な治療法がなかったが,近年,ラパマイシンの有効性が報告されて以来,治療効果が期待されている.肺胞蛋白症に関しては,抗GM-CSF抗体と発生機序の関連性が指摘されて以来,GM-CSFの全身投与あるいは吸入療法の有効性が確認され,さらに最近ではGM-CSF受容体α鎖の変異の関与が指摘されている.サルコイドーシスでは,病態のオーバービューとメトトレキサート(MTX)治療の現状について解説いただいた.終末細気管支から呼吸細気管支を主体に狭窄を認めるBOの原因疾患は多彩であり,疾患概念の歴史は古いが,本邦でも約10年前に発症が確認されたアマメシバによるBOが報告され注目を浴びた.特発性肺線維症では,2008年12月に発売されたピルフェニドンの効果と有効症例の臨床像,ポリミキシンB固定化カラムによる血液浄化(PMX)療法,抗酸化療法への期待,さらに新しい治療薬について解説いただいた.慢性過敏性肺炎は詳細なオーバービューと実際の臨床に役に立つフォローアップ時の注意について解説いただいた.
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