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本号の特集は「呼吸器病学黎明期から現在」を企画した.本特集では,福地義之助先生は「COPDの歴史を紐解く-教訓と展望-」,大田 健先生は「気管支喘息」,貫和敏博先生は「肺癌内科治療の黎明期から現在:First peakから眺望できるものは何か?」,工藤翔二先生は「びまん性汎細気管支炎およびマクロライド療法」,杉山幸比古先生は「間質性肺疾患」,今村圭文先生,河野 茂先生は「肺炎診療の黎明期から現在-肺炎診療ガイドラインを中心に-」を執筆した.呼吸器病学の黎明期を改めて知り学問の奥深さと先人の素晴らしい業績に感銘を受ける.疾患の概念と定義の確立・病態解明の歩みを知ることは,時間軸を含めた疾患の理解につながり将来を展望する際に有益である.綜説では亀山剛義先生らが「血管内イメージングの有用性と進歩」の中で,血管内イメージングの病変の部位と質の同定・治療方針の決定・治療効果判定における有用性について歴史的な変遷を含めて解説した.長坂行雄先生による身体所見でアプローチする呼吸器診療「呼吸器疾患の診断〜初めはバイタルサインから」では,ご自身の経験を踏まえて問診と身体所見の重要性が記述されており,患者に向き合うことの重要性を改めて認識する.Bedside Teachingでは,原永修作先生と藤田次郎先生によって病理学的所見と起因微生物,肺の容積,時間的経過などを意識することの重要性を強調した「肺炎診療における胸部画像診断」が解説されている.長谷川直樹先生らによる「症例で学ぶ非結核性抗酸菌症」ではQ & A方式で肺MAC症副作用対策を学ぶ.研究では,林 孝和先生が「Cockcroft-Gault式によるクレアチニンクリアランス(Ccr)の誤算」,Current Opinionでは大郷 剛先生が「肺高血圧症の治療」について解説された.この他,症例報告を1編掲載した.
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