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本号の特集「疾患感受性遺伝子解析による呼吸器疾患の病態解析」は,疾患感受性遺伝子の解析方法についてマイクロアレイ技術の解説から,疾患各論として,慢性炎症性肺疾患,COPD,気管支喘息,サルコイドーシス,肺線維症,などの疾患の疾患感受性遺伝子の解析・同定の現状について執筆していただいた.positional cloning法やGenome Wide Association Study(GWAS)によって急速に疾患感受性遺伝子の解析が進み,呼吸器疾患において疾患の発症と関連深い遺伝子が同定されている.同時に疾患感受性遺伝子の機能解析も進み,疾患感受性遺伝子と疾患発症や疾患のphenotypeとの関連性,疾患感受性遺伝子の機能発現に影響を与える環境因子の同定と相互作用の機序などが検討されている.さらに,このような研究成果は,疾患感受性遺伝子を有する個体の環境因子対策や遺伝子の機能発現を制御する治療法の開発に貢献する.
本号では特集のほかに,呼吸器領域では,「間質性肺炎における抗線維化療法」では,ピルフェニドンに続く薬剤として期待されているBIBF1120の現状について詳細に解説していただき,「肺癌の治療方針―組織型か遺伝子異常か」では,EGFR遺伝子やEML4-ALK遺伝子異常が肺癌の治療法の選択に影響を与えている現状を含めて解説していただいた.また,「LAMAの位置づけ」では,気管支喘息治療における長時間作用性気管支拡張薬はβ2刺激薬が主体であるが,長時間作用性抗コリン薬の位置づけについて述べていただいた.循環器領域では,「薬剤溶出ステントの現状」,「心不全のチェーンストークス呼吸にみられる心拍について」,「慢性心房細動のアブレーション」について執筆していただいた.その他「症例報告」と「研究」をそれぞれ1論文ずつ掲載している.本号の内容が,読者にお役に立てれば幸いである.
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