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はじめに
運動負荷試験は,6分間歩行試験1,2)(six-minute walk test;6MWT)やシャトル・ウォーキング試験(shuttle walking test;SWT)などの歩行試験と,呼気ガス分析を行う心肺運動負荷試験2,3)(cardiopulmonary exercise testing;CPEX)に大別されるが,本稿ではCPEXの結果解釈に必要な運動生理について解説する.
CPEXは,エルゴメーターやトレッドミルを用いた一定負荷試験と漸増負荷試験があり,通常は1回の試験で多くの情報が得られる症候限界性漸増負荷試験が施行されている.漸増負荷法には,一定時間ごとに負荷量を増加させる多段階漸増負荷法と,連続して直線的に負荷量を増加させる連続的漸増負荷法(ランプ負荷)があり,後者はエルゴメーターを使用時のみに施行することができる.
一定負荷試験は主に種々の治療(呼吸リハビリテーション,薬剤や酸素投与など)の効果判定目的に施行されるが,漸増負荷試験は,1)運動耐容能の評価,2)運動制限因子の解明,3)原因不明な呼吸困難の診断,4)治療効果(運動療法や薬物療法など)の判定,5)心肺疾患患者の機能的評価(早期のガス交換障害の診断など),6)リハビリテーションの運動処方や酸素投与量の決定,7)術前評価などを目的として施行される.
本稿では,1)漸増運動負荷試験における生理学的変化,2)運動耐容能の指標である最大酸素摂取量(VO2max)の規定因子,3)骨格筋線維型と運動時のエネルギー代謝,4)乳酸性代謝閾値(lactic threshold;LT)の機序,5)運動時の換気調節について,CPEXのデータを解釈するために必要な運動生理について解説する.
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