連載 Dr.長坂の身体所見でアプローチする呼吸器診療・2
咳嗽の診療
長坂 行雄
1
1洛和会音羽病院 洛和会京都呼吸器センター
pp.479-484
発行日 2016年5月15日
Published Date 2016/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205957
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咳嗽は呼吸器科の初診で最も多い症状で,遠くから診察に来る人も大半は「咳が止まらない」からである.長い人は20年以上も続いていた.難治例の原因は複合的だが,多くは初診時に原因疾患を推定して治療方針を立てられる.
日本の咳嗽ガイドライン1)は咳嗽の原因から診断,治療まで詳細で,やや複雑である.オーストラリアのガイドラインは,要点が表にされて基礎知識があれば使いやすい(表1〜4)2).咳嗽の診療に関するエビデンスはまだ十分とは言えない3)が,基本的な考え方はほぼ確立している.風邪などに伴う急性咳嗽は2週間ほどで治り,ウイルス感染後の気道過敏性の亢進は2カ月以内で正常化する.急性の咳嗽は2〜3週間以内,慢性の咳嗽は8週間以上,と定義されている.
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