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はじめに
膠原病は炎症,自己免疫を基礎に多臓器に機能障害を来す後天性の全身性炎症性疾患である.関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA),全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus;SLE),全身性強皮症(systemic sclerosis;SSc)など多彩な疾患を包括し,障害臓器も神経,腎,肺,心,消化管,皮膚,骨格筋,関節など多岐にわたる.遺伝素因と環境要因が複合的に病態を誘導すると考えられているが,詳細な発症機序はいまだ明らかでない.そのため,個々の疾患は病因ではなく,臓器障害の分布・程度や免疫学的所見など臨床所見の組み合わせにより分類している.例えば,多関節の滑膜炎が病態の主座であればRA,皮膚・内臓諸臓器の線維化と末梢循環障害を主徴とすればSScと臨床的に診断する.レイノー現象または手指腫脹,抗U1RNP抗体陽性に加えてSLE,SSc,多発性筋炎/皮膚筋炎(polymyositis/dermatomyositis;PM/DM)のうち2つ以上の症状を併せ持てば混合性結合組織病(mixed connective tissue disease;MCTD)と診断する.
肺高血圧症(pulmonary hypertension;PH)が膠原病患者にみられることは1950年代から知られていた.当時は右心不全や突然死など末期に発見されることがほとんどであった.近年,肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension;PAH)に対する肺血管拡張薬が診療に導入され,PH全般に対する認識が高まった.その結果,膠原病患者では様々な病型のPHが高頻度にみられることが明らかになった.本稿では,膠原病に伴うPHの病態多様性,診断,治療戦略について最近の知見を総括する.
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