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本号の特集「呼吸器領域の新しい薬物療法」は,各疾患の薬物療法の現状と将来展望について解説した.病態形成の分子機構の解明は責任分子を標的とした治療法の開発に貢献する.諸外国と情報を共有した特発性肺線維症ガイドライン作成は,疫学・病態の情報を共有し薬物療法の適正化・開発に貢献するうえで重要である.
特集のほかに「気管支喘息と細気管支疾患」,「気管支喘息のnatural history」,「肺癌診療における超音波気管支内視鏡の役割」を掲載した.画像と機能の関連性は,画像所見と病理組織学的変化や形態変化の相関のみならず機能評価・変化の情報を提供する.気管支喘息の自然史は,症例全体を対象とした疫学調査から始まり,難治化因子・合併症・併存症の影響,さらにフェノタイプ別の自然史も焦点が当てられている.肺およびリンパ節病変の評価・診断における内視鏡の重要性は疑う余地がない.内視鏡は硬性鏡,ファイバースコープ,そして超音波内視鏡へ進歩し,現状における超音波内視鏡の有用性について解説されている.循環器領域では,「高感度トロポニンT測定により明らかにされてきたこと」は,高感度トロポニンT測定は非専門医でも疾患と病態の評価や診断に利用しており,さらに理解が深まる内容である.「CABGかPCIか内科治療か―外科の立場から」は,冠動脈疾患に対する治療法の現状を詳細に解説した.「川崎病の臨床像と治療戦略」は,診断,詳細な鑑別診断,米国との相違,最新のTNFαを標的とした治療について解説した.このほか,「ECMOの有用性について」は,歴史と最近のトピックスを中心に解説した内容である.新連載「呼吸器内科医への留学のすすめ」は留学希望者を増やし勇気づける企画である.留学時代を思い出すとともにこの企画によって留学希望者が増加することを祈念する.本号の内容が,読者にお役に立てれば幸いである.
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