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はじめに
肥大型心筋症の原因遺伝子としては,その多くはサルコメア蛋白遺伝子であるが,近年,鑑別として重要な疾患は,Pompe病,PRKAG2遺伝子異常,Danon病などの糖原病と,Fabry病などの代謝異常が挙げられている.Pompe病,PRKAG2遺伝子異常,Danon病の3疾患では,グリコーゲンが,心Fabryではスフィンゴ糖脂質が蓄積するために心筋は肥大し,病理学的所見には,サルコメア遺伝子異常による心筋症で特徴的な心筋の錯綜配列や間質の線維化がみられない.また,左室壁のびまん性の心筋肥厚があること,心電図上,WPW(Wolff-Parkinson-White)症候群を含む,PR短縮やデルタ波といった心室の早期興奮が高率にみられる点が,大きな特徴である.特に,PRKAG2遺伝子異常,Danon病,心Fabry病は,他の症状を書きprimary cardiomyopathy predominatly involving the heartとして発症することがある1).
筋細胞に取り込まれたグルコースは,まず,リン酸化され,さらに,解糖系酵素や合成酵素により,グリコーゲン合成や解糖が起こり,筋細胞のエネルギー源となる.グリコーゲン代謝は,合成,解糖系酵素のほかに,グルコースの運搬やミトコンドリアでの脂肪酸代謝に関与するAMP-activated protein kinase(PRKAG2)や,リソゾームの膜活性安定化に関与するLAMP2や酸性マルターゼ(acid glucosidase)の影響も受けている.PRKAG2,LAMP2やAcid glucosidaseが欠損すると,いずれも筋細胞へのグリコーゲンの蓄積が起こり,心筋肥大と電気生理的異常を来す1).
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