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特集 川崎病
川崎病の心臓外科手術
Cardiac Surgery for Kawasaki Disease
益田 宗孝
1
Munetaka Masuda
1
1横浜市立大学大学院医学研究科外科治療学
1Department of Surgery, Yokohama City University
pp.53-58
発行日 2015年1月15日
Published Date 2015/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205616
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はじめに
川崎病患者の予後を改善するには心筋虚血の予防や改善が重要と考えられており,内科的治療,カテーテル治療,外科治療のなかから最も至適な治療を選択する必要がある.虚血性心臓病の治療に関してはアメリカ,欧州,日本よりそれぞれガイドラインが出されており1〜3),若干の差異はあるもののほぼ統一した見解が出ている.最近ではSYNTAX trialなどの結果から4〜7),冠動脈複雑病変ではカテーテル治療よりも外科治療のほうが長期に優れていることが証明されており,かつ,カテーテル治療における遠隔期stent閉塞のほうが外科治療におけるグラフト閉塞よりも重大な結果をもたらすことが証明されたことより外科治療が見直されてきている.しかしながら,川崎病患者における対象患者の多くが,成人の冠動脈疾患に比して体格の小さい小児であること,成長の因子および長い予測余命を考慮する必要があること,冠動脈の狭窄・閉塞の原因が炎症であり動脈硬化ではないことなど,川崎病においては成人と同様の治療体系を適応することは適当ではないとされている.また,症例数に限りがあることより前述のSYNTAX trialのように無作為臨床試験を行うことも困難である.カテーテル治療や外科治療が日々進歩していることもあり,冠動脈の狭窄・閉塞を合併した川崎病における治療体系は未だ確立しておらず,成人における治療体系を参考に,川崎病の特徴を考慮しながら適応を決定せざるを得ない.
本稿では外科治療,特に冠動脈バイパス手術の現状について述べることとする.
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