増刊号 臨床医のための最新エコー法
エコー法の実践—心エコー法(冠動脈疾患)
川崎病
金丸 浩
1
,
鮎沢 衛
1
,
能登 信孝
1
,
原田 研介
1
1日本大学医学部小児科学教室
pp.156-160
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907722
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川崎病は全身の血管炎に伴う種々の症状を呈し,しばしば冠動脈瘤を合併する原因不明の疾患である.主に4歳以下の乳幼児に発症するが,年長児にもみられ,成人例の報告もある.わが国では年間約6,000人以上が新しく発病しており,年齢別人口10万人に対する罹患率は年々増加し,現在では100を超えている1).厚生省川崎病研究班作成の「川崎病診断の手引き(改訂第4版)」(表1)に基づいて診断されており,主要症状のうち5症状以上を認めた場合に「確実例」として診断される.治療は,ガンマグロブリンの静脈内投与とアスピリンの内服が行われる.
20%前後に冠動脈瘤や拡大性病変を合併するうえに,0.08%程度に死亡例があり,その主な原因は大きな冠動脈瘤に形成された血栓による心筋梗塞であり,突然死が多い.また死亡に至らなくても冠動脈病変を後遺症として,小児期から虚血性心疾患として管理される児もいる.本疾患が疑われる例で主要症状が4症状のみの場合でも,心エコー検査によって冠動脈瘤を伴えば「不全型」として診断される.これらの理由で本疾患では小児に対して繰り返し心合併症を検索する必要があり,非侵襲的に心臓,特に冠動脈を描出できる心エコー検査は不可欠な検査法である.
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