診断基準とその使い方
川崎病
川崎 富作
1
1日赤医療センター小児科
pp.126-128
発行日 1977年1月10日
Published Date 1977/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207041
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概念
川崎病は川崎市の公害病と勘違いされる方が多い.本症の学名は急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群で,英文名Mucocutaneous Lymph Node SyndromeからMCLSと略称されている.
本症は主として4歳以下の乳幼児に好発する原因不明の急性熱性発疹性疾患で,1〜3週間持続する発熱,頸部リンパ節腫脹,両側眼球結膜充血,口唇発赤,口腔粘膜充血,苺舌,全身の紅斑性発疹,および四肢末端の変化を主要症状とするが,本症罹患児の約20%に冠動脈瘤を認め,1〜2%に突然死をきたし,剖検例はすべて冠動脈炎に起因する血栓閉塞を伴っていて,病理組織学的には乳児型結節性動脈周囲炎(I.P.N.と略)に一致することが判明し,内外の注目を浴びてつる.昭和42年,筆者がはじめて本症を記載した当時は,予後良好な疾患と考えられていたが,昭和45年度厚生省医療研究助成補助金によるMCLS研究班(神前章雄班長)が発足し,第1回の全国実態調査が重松逸造博士(公衆衛生院疫学部長)らにより実施された結果,上記のごとき突然死例が1〜2%の割に存在することが判明し,俄然注目されるところとなった.
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