創刊50周年記念特集 今日の耳鼻咽喉科/治療のコツと全身管理
症候群
川崎病
浅井 利夫
1
1東京女子医科大学第2病院小児科
pp.845-846
発行日 1978年10月20日
Published Date 1978/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208774
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急性熱性粘膜リンパ節症候群(MucocutaneousLymphnode Syndrome:MCLS川崎病)は,小児の新しい病気である。今日,本症が注目されている理由は,冠状動脈瘤の血栓性閉塞により,約1.5%という高い頻度で急性死する上,一見治癒したようにみえた児でも,冠状動脈造影検査を行なつてみると,約20%,5人に1人は冠状動脈瘤(第1図)を始めとした種々の冠状動脈後遺症を残す恐ろしい病気であるためである。
耳鼻科領域の先生方は,本症をみる機会も少ないと思われるので本症を簡単に紹介する。本症は4歳以下の乳幼児に好発し,抗生剤に不応の高熱が5日以上持続する。高熱がある時に,眼球充血,口唇発赤,イチゴ舌,頸部リンパ節腫大,体幹の不定型発疹,四肢末端,手足関節以下がテカテカパンパンに発赤,腫大する硬性浮腫などがみられる。やがて下熱すると爪と皮膚の移行部より膜様の皮膚剥離がみられる。血液検査では血沈亢進,CRP陽性,白血球増多+核の左方移動,血小板数増多などがみられる。汎心臓炎の所見として胸部X線写真にて心拡大がみられたり種々の心電図変化がみられる。臨床症状,検査所見は,30病日位で多くの例は正常化する。耳鼻科領域の合併症としては正確な頻度は明らかでないが,無菌性中耳炎が時にみられる。
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