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特集 川崎病
急性期川崎病の新たな治療アルゴリズム—特にステロイドやインフリキシマブ併用について
Novel Treatment Algorithm for Acute Kawasaki Disease:Steroid or Infliximab Combination Therapy
高月 晋一
1
,
佐地 勉
1
Shinichi Takatsuki
1
,
Tsutomu Saji
1
1東邦大学医療センター大森病院小児科学講座
1Department of Pediatrics, Toho University Omori Medical Center
pp.13-19
発行日 2015年1月15日
Published Date 2015/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205610
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はじめに
日本小児循環器学会から,川崎病急性期治療のガイドライン(平成24年改訂版)が提唱されている.現時点で最も信頼のできるエビデンスレベルの高い初期治療は大量ガンマグロブリン静注療法(IVIG)であり,10病日以内にIVIGを投与しえた場合の冠動脈瘤(An)発症のリスクは3%以下と報告されている.IVIG療法は,Fc受容体を介して,マクロファージのFcγ受容体ブロック,炎症性サイトカインやケモカイン産生低下により,臨床症状の改善やAnの発症のリスクを下げる.IVIG療法は,川崎病と診断され発熱を伴う急性期の全例に適応される.治療目標はAnの発症頻度を最小限にすることである.そのために可能な限り早い病日に初期治療がなされる必要がある.急性期川崎病の15〜20%の症例では初回IVIGに対し不応例であり,Anの発症のリスクが高い1).これらの不応例に対する治療戦略にはまだエビデンスレベルの高いものはない(表1).近年,初期治療であるIVIGへの不応例を減らしAnの発症頻度を減らすために,ステロイドや抗TNF-α製剤であるインフリキシマブを初回IVIGに併用する治療法が報告されてきた.本稿では,川崎病に対する新しい治療戦略に関し,ステロイドおよびインフリキシマブの併用療法を中心に述べる.また,初期治療不応例に対する治療について最近の知見を紹介する.
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