特集 川崎病の今
急性期の治療 ステロイド
宮田 功一
1
1東京都立小児総合医療センター 循環器科
キーワード:
Methylprednisolone
,
Prednisolone
,
川崎病
,
パルス療法(薬物療法)
Keyword:
Mucocutaneous Lymph Node Syndrome
,
Methylprednisolone
,
Prednisolone
,
Pulse Therapy, Drug
pp.92-97
発行日 2021年1月1日
Published Date 2021/1/1
DOI https://doi.org/10.24479/J00648.2021135330
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<Key Points>(1)川崎病におけるステロイド薬は、川崎病血管炎を強力かつ迅速な抗炎症・免疫抑制作用によってより早期に鎮静化させ、冠動脈のリモデリングを抑制することを目的に使用される。(2)細胞質内ステロイド受容体を介して炎症性蛋白質遺伝子の転写活性を抑制し、炎症性サイトカインやケモカイン、細胞接着分子の産生を抑制する。さらに、抗炎症蛋白質遺伝子の転写を亢進させ、抗炎症性蛋白質の産生が亢進する。(3)投与方法は、メチルプレドニゾロンパルス:30mg/kg/日・点滴静注を1~3日間、プレドニゾロン:2mg/kg/日から開始し約3週間で漸減。(4)急性期治療ガイドラインにおけるステロイド治療は、初期治療:IVIG不応予測例に対してIVIGとプレドニゾロン併用推奨、メチルプレドニゾロンパルス併用考慮。追加治療:ステロイド療法単独またはIVIGと併用を考慮。(5)プレドニゾロン投与中の注意点として、発熱などによる再燃の判断が難しい場合がある。血液検査や心エコー検査を頻回に実施し、再燃や炎症が抑えきれずにくすぶっていることが疑われる場合は、IVIG追加投与など適切な追加治療を行う。(6)副作用として、消化管出血、細菌感染症に注意が必要である。満月様顔貌、白血球数増多、高血糖、高コレステロール血症、腎皮質機能抑制がしばしば出現するが、ステロイド中止後に経過観察のみで改善する例がほとんどである。洞徐脈、高血圧、低体温といったバイタルサインの変化にも注意する。
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