増刊号 すべて見せます! 患者説明・同意書マニュアル—[特別Web付録]説明書・同意書の実例99点
9 ぶどう膜炎
インフリキシマブ(レミケード®)
竹内 正樹
1
,
桐野 洋平
2
1横浜市立大学医学部眼科学教室
2横浜市立大学大学院医学研究科幹細胞免疫制御内科学
pp.161-163
発行日 2020年10月30日
Published Date 2020/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410213773
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治療法の概要
インフリキシマブ(レミケード®)は,アダリムマブ(ヒュミラ®)とともに眼科領域で用いられる生物学的製剤である。生物学的製剤とは,バイオテクノロジーを応用して生成された生体の分子を標的とする治療薬である。レミケード®はキメラ型抗腫瘍壊死因子(TNF)抗体であり,マウス由来のFab領域とヒト由来のFc領域からなる。わが国では,2007年にBehçet病による難治性網膜ぶどう膜炎の治療薬として承認された。
Behçet病は口腔内潰瘍,ぶどう膜炎,皮膚病変,外陰部潰瘍を4主症状とする原因不明の炎症性疾患であり,その他にも関節炎,消化器症状,中枢神経病変,血管炎など全身の諸臓器に炎症を引き起こす。眼症状としては,発作性に漿液性のぶどう膜炎を呈し,典型例では前房蓄膿がみられる。たび重なる眼炎症発作により不可逆的な傷害となり,患者の視機能は徐々に低下し,重症例では失明に至る。レミケード®が用いられる以前には,眼炎症発作のコントロールに難渋する症例も多く,発症10年後の最高矯正視力は平均0.1程度まで低下していた1)。
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