Bedside Teaching
Syndrome of inappropriate secretion of ADH(SIADH)
阿部 庄作
1
Shosaku Abe
1
1北海道大学医学部第一内科
1First Department of Medicine, School of Medicine, Hokkaido University
pp.1295-1300
発行日 1989年12月15日
Published Date 1989/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205592
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Syndrome of inappropriate secretion of ADH(以下SIADHと略す)はSchwartzらにより初めて報告された1)。彼らは低Na血症を示した肺癌の2症例を報告し,ここで見られた低Na血症の病態はヒトにADH製剤を持続的に投与したときに生じる低Na血症の病態と一致することを確かめた。そこで,この肺癌に合併した低Na血症は血漿浸透圧が低下しているにもかかわらずADH分泌が抑制されずに持続しているためと考え,SIADHと命名した。すなわち,SIADHとは疾患の種類に関係なく,低Na血症,低浸透圧血症を呈しているにもかかわらず,尿は高張性で尿中へのNa排泄の持続を特徴とする症候群である。この症候群の概念は広く普及し,周知の事実となっている。しかし,臨床上SIADHと同様の病態を示す症例でもADHの不適切な分泌を証明しえない場合もある2,3)。近年の研究により,心房性Na利尿ペプチド,内因性ジギタリス様物質などのNa利尿性物質との関連も注目されてきており4〜6),SIADHの概念,発症機構が再び問題となってきている。
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.