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薬剤を分類する目的は,臨床応用に適する薬剤が多種類ある場合,患者の疾病状態にこれら薬剤を応用するとき,最適な薬剤を選択し投与するための基準を作成することと,作用機序を明らかにすることである。一般に薬剤の分類は化学構造や作用機序や薬理学的な有効性や臨床に用いたときの有効性のもとに行われる。抗不整脈剤の場合,化学構造は多種にわたり,類似性に乏しく化学構造の面からの分類は複雑で困難である。しかし限られた薬剤に関しては可能であろう。作用機序の面からは生体位レベルや細胞レベルを通して分類される。前者は不整脈の発生部位やその発生機序からの分類となる。後者は細胞膜の興奮過程すなわち活動電位波形に対する効果や細胞膜イオン電流をもとにして分類される。Vaughan Williamsの分類がこれにあたる。彼は活動電位持続時間や自律神経作用をもとに1970年にクラスIをNaチャネルを抑制するもの,クラスIIをβ受容体遮断剤,クラスIIIを活動電位持続時間を延長する薬剤の3群に分類した1)。その後Ca電流を抑制するCa拮抗薬が開発され,1972年Singh & Vaughan WilliamsによりクラスIVとしてCa拮抗剤が加えられた2)。1974年にSingh &Hanswirth3)はクラスIに分類されたNaチャネル抑制剤(すなわちVmaxを抑えるもの)を活動電位持続時間(APD)の変化から,APDを延長するIa群,APDを短縮するIb群に分類した。その後Naチャネルを抑制する新薬が登場し,1981年KeefeらはAPDに影響を与えないことから,これらをIc群に分けた4)。今日までこうしてまとめられてきている分類はオリジナルに従ってVaughan Williams分類(表1)と呼ばれ,最も広く用いられている。分類された薬剤はさらに血行動態,心電図への影響も明らかにされている。この分類(表1)は比較的単純化されており,その後の新薬の開発の大きな指針ともなっている。しかしこの分類だけでは実際の不整脈にどの薬剤を使用してよいかは明らかでない。そこで各種不整脈に有効な薬剤をまとめたもの(表2),抗不整脈剤の心臓での作用部位からまとめたもの(表3)も必要となる。不整脈の中でも最も危険なものは心室細動であり,細動閾値から抗不整脈剤をまとめたものもある(表4)。
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