Japanese
English
綜説
静脈系の機能と形態
Functional and morphological characteristics in venous vessels
大橋 俊夫
1
Toshio Ohhashi
1
1信州大学医学部第1生理学教室
1The 1st Department of Physiology, Shinshu University School of Medicine
pp.127-135
発行日 1989年2月15日
Published Date 1989/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205416
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はじめに
静脈系とは末梢に貯留した血液を心臓に戻すために導管として働いているばかりでなく,経壁内圧の変化や神経・体液性調節状態の変化によって壁平滑筋の緊張を変え,血液量の再分配を引き起こし,右心房の充満圧や心拍出量を調節している臓器としての作用をも有する。たとえば,調圧反射系が完全に抑制されている状態では,右心房圧が1cm H2Oほど上昇しただけで,一回拍出量は対照値の150%にも増加することが知られている1)。とてうが,調圧反射系の健在な生理的状態では,心拍数,心収縮力,末梢血流抵抗,静脈伸展性等を変化させ,中心静脈圧すなわち心臓充満圧をほとんど変えないような恒常性が維持されている1)。このように,静脈系は循環動態の調節機構における制御臓器として重要な役割を果たしているてとがわかる。そこで本稿ではての静脈系の機能と形態に関する研究成果を概観し,あわせて最近の研究のトピックスについて紹介したい。
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