Japanese
English
第1土曜特集 “かたちづくり” を制御する分子メカニズム
形態形成と病態・疾患
造血系と形態形成
Hematopoiesis and tissue remodeling
劉 孟佳
1
,
中野 敦
2
Norika LIU
1
,
Atsushi NAKANO
2
1熊本大学国際先端医学研究機構
2University of California Los Angeles, Department of Molecular, Cell, and Developmental Biology, Department of Medicine
キーワード:
心内膜細胞
,
造血
,
マクロファージ
,
Nkx2-5
,
Notch
Keyword:
心内膜細胞
,
造血
,
マクロファージ
,
Nkx2-5
,
Notch
pp.107-112
発行日 2024年7月6日
Published Date 2024/7/6
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290010107
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哺乳類の胚発生において,造血は卵黄囊における全身性なものとAGM(aorta-gonad-mesonephros)領域や心内膜における局所なものが知られている.大動脈や心臓における造血性内皮細胞は,内皮造血転換(EHT)により血球に分化する.造血性心内膜細胞は他の造血器官よりもマクロファージに分化する傾向が強く,転写因子Nkx2-5とその下流のNotchシグナルの活性化,およびDhrs3発現によるレチノイン酸シグナルの抑制による制御を受ける.似たようなマクロファージ優位性と分子制御は,ショウジョウバエ胚の造血でも知られている.さらに遺伝子欠損マウスの解析から,心内膜由来のマクロファージは心内膜床から弁への組織リモデリングに必須の役割を持つことが明らかとなった.このことから,胎生期の局所造血は臓器形成に寄与すること,そして臓器形成における造血の役割は,種間で保存された起源の古い胚発生プログラムであることが示唆される.
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