学会印象記
1988年度生体組織への酸素輸送に関する国際会議に参加して
小山 富康
1
1北海道大学応用電気研究所生理部門
pp.135
発行日 1989年2月15日
Published Date 1989/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205417
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この会議は8月7日より11日にかけてカナダの首都オタワ市において,オタワ大医学部ラクサン教授を会長として開催された。参加9カ国,参加研究者は130人で,日本からは望月政司前会長をはじめとして11人が参加した。この会議では酸素の生体へのとり込み,生体組織への輸送,組織内に取り込まれた酸素の挙動を研究し,正常条件下での酸素輸送の基本原理と疾患条件下での変調を明らかにするための研究発表と討議とが展開される。今回の発表総数は123題であり,内訳は研究方法16,酸素の拡散17,酸素の分光学的研究10,組織解剖と酸素輸送12,骨格筋への酸素輸送10,癌関係7,心筋への酸素供給18,呼吸器19,虚血8,フリーラジカル6題がポスター形式を中心に発表された。展示されたポスターの前で熱気のこもった討論,手厳しい批判,あるいは賛辞がとび交ったのち,スライド2枚を用いて各自の発表のセールスポイントを5分間ずつ紹介する機会が与えられる。ここで再び討論のまな板に乗せられたのち,発表者はやっと解放されるてとになる。酸素を主題とする会議であり,酸素々々で明け暮れる4日間は疲労も大きいが,得るところも多かった。バンケットは市内の国会議事堂のシャンデリア輝く大広間で行われ,科学担当の議員が,英語と仏語で挨拶された。カナダの科学振興にかける意気込みが強く感じられた。
1989年7月21〜24日には次の会議が西独ゲッチンゲンのMax Plank研究所実験医学研究所J piiper教授を会長として開催される。詳細は小山までお問い合わせいただけると幸いである。
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