Japanese
English
解説
リンパ輸送様式とその制御機構
Lymph propulsion and its regulatory mechanism
大橋 俊夫
1
,
東 健彦
1
Toshio Ohhashi
1
,
Takehiko Azuma
1
1信州大学医学部第1生理
1Department of Physiology, Research Laboratory for Cardiovascular Diseases, Shinshu University, School of Medicine
pp.1287-1295
発行日 1981年12月15日
Published Date 1981/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203890
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毛細血管の薄い壁を透過した血液中の水分,電解質,その他の溶質および少量の蛋白質等は間質液となって組織間隙をうるおす。間質液は細胞からうけとった代謝物質をも含め再び血液にもどるが,その帰り道には2通りがある。その1つは再吸収で,毛細血管の壁を内側に向って通過して血流に入る。いま1つは毛細リンパ管に入ってリンパ系を通って流れる道である。リンパ系内の流れは組織中での毛細リンパ管に端を発し,体の中心部に向って進行する一方向性を示すことがその特徴の一つである。運ばれたリンパは頸部の左鎖骨下静脈において血液と合流する。
毛細リンパ管は組織液の回収,輸送に都合よくできている。毛細リンパ管は内皮細胞から成る壁の薄い細管で,内皮接合部の間隙は毛細血管のように100-150Åのものもあるが一般には200-300Åが多い。しかも所々には2個の内皮細胞の間が全く開いている場所も電顕的に観察されている1)。
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