Japanese
English
綜説
完全植え込み型人工心臓
Completely implantable artificial heart
松浦 雄一郎
1,2
,
浜中 喜晴
1,2
,
福永 信太郎
1,2
,
山田 一
3
Yuichiro Matsuura
1,2
,
Yoshiharu Hamanaka
1,2
,
Shintaro Fukunaga
1,2
,
Hajime Yamada
3
1広島大学医学部第一外科
2広島大学人工心臓実験施設
3信州大学工学部電気工学科
1The First Department of Surgery, Hiroshima UniversitySchool of Medicine
2Research Institute for Artificial Heart, Hiroshirna University
3Department of Electrical Engineering, Faculty of Engineering, Shinshu University
pp.1281-1289
発行日 1988年12月15日
Published Date 1988/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205375
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緒言
近年の心臓外科は周知のように飛躍的進歩を遂げつつあるが,複雑な心奇形,広範囲に侵された冠動脈疾患,重症心肺障害などは,これまでの治療では救命し得ない。こうした重篤で絶望的な心臓を永久的に代行させようとする人工心臓あるいは心臓移植は,現在社会の求める急務の一つとなっていると言っても過言ではない1)。すでに心臓移植は臨床上著しい効果,成績を得ているとはいうものの,拒絶反応あるいは提供者の問題など制約が無い訳ではなく,これに比べ人工心臓はこうした問題点は全くなく無限の可能性を有しているのである。
広い意味での人工心臓の研究の歴史は比較的古くからなされ,1865年に遡る。すなわち100年以上の歴史があり,私どもも1967年来人工心臓開発に取り組んでいる2)。しかしながら完全に体内に植え込むことのできる人工心臓は,いまだに遠い道程にあるようである。そうした状況の中にあって,開心術術後あるいは心臓移植までの不全心の循環補助あるいは一時的循環代行としての人工心臓は,最近臨床応用も可能となっている。一方人工心臓の最終目標は完全植え込み型人工心臓に置かれるべきであり,これに対し今回筆者の一人(山田)を委員長に,永久植え込み使用が可能な体内植え込み型補助人工心臓および完全人工心臓にリニアモータおよびその他の電気機械による電磁力を使った方式を開発するための調査研究を目的として,電磁型人工心臓調査専門委員会が設立された。
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