Japanese
English
解説
フローサイトメトリー—肺癌臨床への応用
Clinical application of flow cytometry in lung cancer
宮本 宏
1
,
磯部 宏
1
,
川上 義和
1
Hiroshi Miyamoto
1
,
Hiroshi Isobe
1
,
Yoshikazu Kawakami
1
1北海道大学医学部第一内科
1First Department of Medicine, School of Medicine, Hokkaido University
pp.1291-1298
発行日 1988年12月15日
Published Date 1988/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205376
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はじめに
フローサイトメトリーFlow cytometry (FCM)とは単離した細胞に蛍光色素を施し,高速で細い管の中を流し,光(レーザーなど)を照射して発生した蛍光を測定し,細胞のもつ各種の情報(DNA, RNA,蛋白などの各細胞内物質の量,細胞表面の抗原,酵素活性など)を多量に短時間に調べる細胞瞬間自動解析法のことである。現在のような高い測定精度が得られる FCMが,米国で開発されてから約20年ほどたつが,わが国には1976年に初めて導入され,その後,徐々に普及しはじめた。
最近まで,DNA量の測定は顕微直視鏡を用いたシステム(顕微分光測光法,microspectrophotometry:MSP)によって行われていた。MSPはFCMに対してstaticcytometryとも呼ばれる。FCMとMSPとの大きな違いは測定時間であって,MSPは数秒ないし数分間に1個であるのに対し,FCMは1秒間に数千個の細胞が測定される。このことは,集団全体を測定する上で,測定精度上,大きな差となっている。
現在,このFCMを用いた細胞分析法は,免疫学,血液学,腫瘍学などの医学的研究分野にとどまらず,広く生物学全般にわたって応用されている(表1)。本稿ではFCMについて解説するとともに,特に,FCMの肺癌臨床への応用について述べてみたい。
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