Japanese
English
解説
肺胞上皮細胞のイオントランスポート
Ion transport by alveolar epithelial cells
須加原 一博
1
,
清田 武俊
1
,
馬場 知子
1
,
矢野 敏之
1
,
中野 賢三
1
Kazuhiro Sugahara
1
,
Taketoshi Kiyota
1
,
Tomoko Baba
1
,
Toshiyuki Yano
1
,
Kenzo Nakano
1
1熊本大学医学部麻酔学教室
1Department of Anesthesiology, Kumamoto University Medical School
pp.609-614
発行日 1988年6月15日
Published Date 1988/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205269
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はじめに
近年,細胞分離法や培養法の進歩により,生体の一部である細胞を取り出し単純化した系の中で取り扱うことが可能になり,生体内における個々の細胞の機能あるいは細胞間の相互作用などが新たに明らかにされて来ている。
肺胞Ⅱ型上皮細胞は,元来肺表面活性物質(surfactant)の産生分泌や肺障害時に増殖し肺胞I型上皮細胞へ分化するなど正常肺構築の維持に重要な機能を有することが明らかにされていた。最近,Kikkawaら1)により分離培養法が報告され,新たに肺胞上皮細胞がイオントランスポートの機能を有し肺胞被覆層(alveolar lininglayer)内の水や電解質を調節していることが示唆されてきている2)。この機能は,後述するように分娩後新生児肺の羊水吸収あるいは肺水腫の発生機序などに深く関与しているものと思われる。本稿では,肺胞上皮細胞のイオントランスポートの機能について著者らの研究2〜7)を中心に概説する。
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