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はじめに
特発性心筋症はBrock1)により初めて臨床的に注目されるようになり,Goodwinら2),Braunwaldら3,4)によりその特微が明らかとされた疾患である。
その定義は「原因不明の心筋疾患」とされ,左室心筋の異常な肥大に伴う左室拡張期コンプライアンスの低下を特徴とする肥大型心筋症(hypertrophic car—diomyopathy, HCM),左室拡張と心筋収縮不全を特徴とする拡張型心筋症(dilated cardiomyopathy, DCM)および心室の拡張不全を特徴とする拘束型心筋症(restrictive cardiomyopathy, RCM)に分類されている5〜12)。さらに肥大型は左室流出路狭窄の有無により,閉塞性(hypertrophic obstructive cardiornyopathy,HOCM)と非閉塞性(hypertrophic nonobstructivecardiomyopathy HNCM)の2型に細分されるが,閉塞の存在そのものを疑問視する考えから13),いまだ日本においては一般的ではないものの,最近ではwithgradient, without gradientという表現で分類されるようになってきている7,8,11,12)。非対称性中隔肥厚(asym—metric septal hxpertrophy, ASH)の存在は,本疾患の診断項口の一つとして重要なものであるが,NIHグループのMaronら14)は,断層心エコーを用いた研究からHCMにはASHを有する典型的なもの以外に,肥大の部位を異にするvariationが存在するとして,HCMを4つの型に分類した。その後,心室中部閉塞型15,16),心尖部肥大型17),apical ASH型18〜21))などの亜型が提唱されている。
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