今月の表紙
肺癌(肺胞上皮癌)
星 利良
1
,
都竹 正文
1
,
坂本 穆彦
2
1癌研究会附属病院細胞診断部
2東京大学医学部病理学教室
pp.598
発行日 1993年7月1日
Published Date 1993/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901622
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わが国における肺原発腺癌の発生頻度は,扁平上皮癌に並ぶかそれを凌ぐ高率で,さらに増加する傾向にある.この傾向は,扁平上皮癌が優勢な欧米とは異なる特徴である.扁平上皮癌の発生には喫煙が関係するといわれているが,腺癌は喫煙との相関はない.また扁平上皮癌が男性に圧倒的に多いのに対し,腺癌では男女差がみられない.
腺癌は発生母地,あるいは分化傾向により,①粘液非産生性気管支表面上皮型,②杯細胞型,③気管支腺型,④細気管支無線毛上皮細胞型(クララ細胞型),⑤Ⅱ型肺胞上皮型に分類される.また,日本肺癌学会の「肺癌組織型分類」で腺癌は腺管型,乳頭型に分類され,各型は組織学的分化度により高分化・中分化・低分化の3段階に分けられる.さらに乳頭型の一亜型として細気管支肺胞上皮型bronchioloalveolar type(以下,肺胞上皮癌)が設定されている.この肺胞上皮癌の発生母地は細気管支および肺胞Ⅱ型上皮である.さらに肺胞上皮癌は終末気管支無線毛細胞型(クララ細胞型)と杯細胞型の2型に分けられ,両者が相互に移行する混在型もしばしばみられる.
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