Japanese
English
特集 呼吸調節—最近の話題
呼吸調節における脳循環・代謝の関与
The effects of cerebral blood flow and metabolism on control of breathing
鈴木 章彦
1
,
西村 正治
1
,
山本 宏司
2
,
岸 不盡彌
1
,
川上 義和
1
Akihiko Suzuki
1
,
Masaharu Nishimura
1
,
Hiroshi Yamamoto
2
,
Fujiya Kishi
1
,
Yoshikazu Kawakami
1
1北海道大学第一内科
2岩見沢市立病院内科
1The First Department of Medicine, School of Medicine, Hokkaido University
2Department of Medicine, Iwamizawa Municipal Hospital
pp.485-492
発行日 1987年5月15日
Published Date 1987/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205053
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はじめに
呼吸調節系において,低酸素刺激は末梢化学受容器を介して,また高炭酸ガス刺激は主として中枢化学受容器を刺激してそれぞれ換気増大をもたらすが,一方では,低酸素は中枢に対しては抑制的な作用を持つことが種々の事実から推測されている1,2)(図1)。低酸素による呼吸中枢抑制の機序としては,低酸素による代謝,神経活動の直接の抑制3)や,脳血流の変化を介した中枢化学受容器のPCO2レベルの変化が関与しているとの可能性がいわれている4)が,いまだ推測の域をでない。特に脳血流の低酸素における増加は,組織酸素運搬の点では有利な反面,脳の中枢化学受容器のPCO2を下げることによって結果的に換気を抑制する可能性があるという相反する作用を持つと考えられ興味深い。本稿では,低酸素による脳血流,代謝の変化を整理してその呼吸調節系に及ぼす影響を考察し,特にヒトにおいて低酸素換気応答の個体差や,持続低酸素負荷時の換気減少における関与について検討した。
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