Japanese
English
解説
肺線維症の急性増悪の機序と治療
Pathophysiology and treatment of acute exacerbation of pulmonary fibrosis
本間 行彦
1
,
小笠原 英紀
1
Yukihiko Honma
1
,
Hideki Ogasawara
1
1北海道大学医学部第一内科
1First Dept of Medicine, School of Medicine, Hokkaido University
pp.377-383
発行日 1986年4月15日
Published Date 1986/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204849
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肺線維症という病名は,Spain1) の分類に見られるように肺の間質の線維化をきたす疾患に古くから広く用いられているが,これは種々の原因の結果として生じた肺の終末像を表す総称である。今日では,その病因を研究する上でも肺線維症の前段階と考えられる間質性肺炎(interstitial pneumonia,肺臓炎pneumonitisもほぼ同義に用いられる)という名称が好んで使われている。ここで言う間質とは,主として肺胞隔壁(alveolus)をさし,ここの炎症すなわち胞隔炎(alveolitis)が本病変の始まりとして病態を考える上での研究対象となっている2-4)。
間質性肺疾患には現在およそ160ぐらいが知られているが,このような患者の2/3は原因が不明とされている5)。このうち,いわゆる急性増悪を引き起こすものは,ほとんどが特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonia,IIP,米国でのidiopathic pulmonary fibro—sis,英国でのcryptogenic fibrosing alveolitis—最近では膠原病によるものと区別して"lone"を冠して呼ぶことが多い—とほぼ同義6))であり,しかもほとんどが致死的転帰をとる予後不良の疾患である。本稿ではこのIIPについて,急性増悪の解説を試みたい。
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