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気管支喘息は古くからレアギン即ちIgE抗体の関与する即時型アレルギーの代表的疾患と考えられており,その発症の機構として,抗原と肥満細胞上の抗原特異的IgE抗体との反応の結果遊離するヒスタミン等のchem—ical mediatorを介した気道攣縮の結果として発現すると理解されている。そしてその原因抗原確定の為の手段として皮膚反応及び吸入誘発反応が広く用いられるようになった。しかし,1952年Herxheimer1)により吸入誘発による遅発型反応が報告され,当初は彼も述べているように例外的なものと考えられていたが,日本においても1962年,宮本2)が吸入誘発試験における遅発型反応を報告し,臨床における意義を喚起している。その後遅発型反応の症例が続々と報告され,日常臨床における重要性が益々認識されるようになった。その発現の機構について種々の検討がなされているが,未だその病態や成立機序については不明の点も多く種々の議論がある。本稿においては,この遅発型反応に関する現在迄の知見を概説し,その問題点を整理してみたいと思う。即時型喘息(immediate asthmatic response;IAR),遅発型喘息(late asthmatic response;LAR)とは抗原を気道へ吸入した時点から反応出現迄の時間によってつけられた呼称であるが,表1に示すごとくPepysら3)が両反応の特徴をまとめている。これに両反応が一個人にともに出現する2相性反応(dual asthmatic response;DAR)を加えて,その後の種々の検索の際の臨床像の基準として用いられている。即ち,遅発型の特徴としては,(1)徐々に出現し進行性であり,初期には労作時以外には異常は認めがたいが極期には呼吸困難,喘鳴が認められ,(2)全身反応(倦怠感,筋肉痛,発熱)がしばしば認められ,白血球増加及び好酸球増多を示すことが多く,(3)イソプロテレノール吸入に対しては反応悪く,効果があっても一過性,(4)ステロイドの吸入,全身投与及びCromolynsodiumの吸入が有効,更に反応出現,持続の時間により2つの亜型(表中A及びB)に分けている。
以上のような遅発型反応における現在迄の知見を,(1)日常臨床との関わり,(2)抗原の面から,(3)抗体及び免疫機構の面から,(4) chemical mediatorの面から,(5)呼吸機能の面からの順で概説しつつ問題点を考えてみたい。
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