呼と循ゼミナール
呼吸調節(1)—Loaded ventilation
川上 義和
1
1北海道大学医学部第一内科
pp.374
発行日 1984年4月15日
Published Date 1984/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204425
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外気道に気流抵抗あるいは弾性抵抗を負荷すると(その多くは吸気時であるが),換気量,呼吸数,一回換気量あるいは呼吸パターンに変化が起きる。気流抵抗負荷の場合,患者に気道抵抗増加が起きるような病態すなわち気管支喘息などの病態をシミュレートし,病態のメカニズムを理解することも出来る。
Loaded ventilationに関与する主要な因子は,4つほど知られている。1つは,呼吸筋の特性つまり負荷により収縮速度が強制的に延長し筋肉が延長した状態下で筋力を増すという特性である。その2は,肺および胸郭の機械受容器(mechanoreceptors)の刺激によって発する反射で,その3は大脳の上位中枢による修飾である。いま1つは,換気量の変化により生じた動脈血および脳脊髄液Pco2),Po2),pHによる化学調節機構である。このようにladed ventilationの調節因子は数多いから,とくに分析的研究をすすめる場合はこれらの因子を標準化する必要がある。また,これら4因子のうち特に上位中枢の役割(予感,学習,理解など)は,ヒトを実験対象とする場合忘れられがちであるが重要と思われる。
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