Japanese
English
Bedside Teaching
夏型過敏性肺炎
Summer-type hypersensitivity pneumonitis
河合 健
1
Takeshi Kawai
1
1慶応義塾大学医学部内科
1Dept. of Internal Med., School of Medicine, Keio University
pp.363-368
発行日 1984年4月15日
Published Date 1984/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204423
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咳,呼吸困難,発熱を臨床的主徴として,胸部X線写真ではびまん性散布性粒状影を呈し,血沈亢進,白血球ことに好中球増加を示し,病理組織学的には肉芽腫性肺炎である一群の疾患があり,その発症には抗原物質の吸入感作が基盤にあることから,本症は過敏性肺炎と名づけられている。過敏性肺炎は,米国およびカナダでつかわれるhypersensitivity pneumonitisの訳であり,英国を中心としてヨーロッパでは外因性アレルギー性肺胞炎extrinsic a11ergic alveolitisとよばれる。
わが国では,夏に発症する特異な過敏性肺炎が存在することが明らかとなり,夏型過敏性肺炎と名づけられた。7月から9月にかけておこるもので,症例の中には何年も同じ季節にくりかえすものや,家族内で数人が発病するものもみられた。臨床症状が入院治療によって改善した患者が帰宅すると,数時間のうちに症状が再出現する例がくりかえし経験され,帰宅誘発試験とよばれるが,このことは居住環境(空気)が病因—おそらく微生物—によって充満し,汚染されていることを示していると考えられている。本稿では夏型過敏性肺炎の定型的症例を示し,臨床的特徴を明らかにしたい。
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