巻頭言
コンプライアンス
加藤 政孝
1
1岩手医科大学内科学第二講座
pp.553
発行日 1982年6月15日
Published Date 1982/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204003
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われわれ医師が患者を治療するとき,患者が医師の指示に従ってそれをよく守り,医師の治療に協力的な場合,その患者はコンプライアンスがよいあるいはコンプライアントであるという。この場合のコンプライアンスは英語の辞書にあるように,従順とか人の言う通りになるという意味である。
ここで述べる物理学的意義をもったコンプライアンスという用語は,肺臓についてはじめて用いられた概念で,単位圧力の変動すなわちtranspulmonary pressure(胸腔内圧—口腔内圧較圧)の変化に対しておこる肺気量の変化として測定される。実際には,安静呼気位から一定量の空気を吸いこみ,その後気道を人為的に閉じた状態でtranspulmonary pressureを測定し,さらに一定量の空気を吸入したあと同じ測定を順次繰り返し,この圧—量関係を横軸,縦軸にプロットすると,その傾斜が肺コンプライアンスを表わす。
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