Japanese
English
特集 ペースメーカー最近の進歩
生理的ペーシング
Physiological pacing
池下 正敏
1
,
庄司 佑
1
Masatoshi Ikeshita
1
,
Tasuku Shoji
1
1日本医科大学胸部外科
1Dept. of Thoracic Surgery, Nippon Medial College
pp.705-709
発行日 1983年7月15日
Published Date 1983/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204255
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1930年Hyman1)が臨床例において最初に針電極を用いて経胸的心臓電気刺激を行い,また1952年にはZoll2)が前胸部皮膚に与えた電気刺激が徐脈の治療に有効であることを報告して以来,電気生理学的研究の進歩,ペースメーカーのGeneratorや電極の開発,改良が行われ徐脈性不整脈に対するペーシング療法は一般的となり,なお普及しつつある一方,頻脈性不整脈に対しても積極的にペースメーカー療法が行われるようになってきた。特に近年各種のペーシング方式の異なるベースメーカーが製造されているが,中でも注目されるのは生理的ペーシングの応用とそのための機種の開発である。現在まで徐脈性不整脈に対して多数の心室刺激型ベースメーカーが植込まれているが,心拍数は一定レベル以上に維持されているものの心機能はなお不満足な状態にある例も少なくない。また中には低血圧,頸静脈怒張,目まい,腹部不快感,動悸など一連の症状を呈するpacemaker syndromeを認める例も稀ではない。多くの例でこれらの原因が心房機能を無視した非生理的な心室ペーシングによることは,血行動態的に証明されている。これらの対策としての生理的ペーシングには,生体の要求する適切,良好な血行動態を得るために,生理的に心拍数を変える能力,心房の補助ポンプ作用(boosterpump),適当な間隔での心房心室の順次的収縮性(A-Vsynchrony)が望まれる。
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