呼と循ゼミナール
Exercise Induced Asthma—(その4)発生機序(1)
堀江 孝至
1
1日本大学医学部第1内科
pp.372
発行日 1983年4月15日
Published Date 1983/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204205
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運動によってなぜ気道閉塞が誘発されるかという点についてはいろいろな仮説がある。低炭酸ガス血症,分時換気量の増加,乳酸性アチドーシス,頸動脈体の刺激,あるいは咽頭部受容体の刺激,chemical mediatorの放出,α,β交感神経系のimbalance,および副交感神経系を介する反射などがあり,さらに近年airway coolingがEIA発生において重視されてきている。
Herxheimer (Lancet 1:83,1946)以来EIAの原因は過換気によると考えられ,過換気が気管,気管支を刺激し喘息が誘発されると思われた。しかし,過換気時にはPACN2が低下しており,このPACO2の低下が気道狭窄を招くとの主張もあり,運動時にCO2をふくむガスを吸入させることでEIAが阻止されることも示された。また一方では運動時に乳酸産生が増し,この乳酸が刺激となって気道収縮がおこるとする考えもある。すなわち血液中H+の増加は肥胖細胞よりchemical mediatorの放出をうながすこと,またbradykinin産生や蓄積を調節すること,頸動脈体を刺激して気道閉塞を招くことなどが知られている。
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