呼と循ゼミナール
気道における非アドレナリン作動性抑制神経について(1)
相沢 久道
1
1九州大学医学部附属胸部疾患研究施設
pp.352
発行日 1982年4月15日
Published Date 1982/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203956
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気道のtonusの維持にあずかる神経性調節は,長年にわたって,気道の平滑筋に分布する交感神経ならびに副交感神経のみによって行なわれていると考えられてきた。すなわち交感神経の興奮は平滑筋の緊張に対して抑制的に働き,逆に副交感神経の興奮は緊張を亢進させるという機序である。Langleyの報告以来,哺乳動物の自律神経支配は,気道のみならず他の臓器においても交感神経と副交感神経の2つの系によってのみ構成されていると考えられてきた。ところが1960年代に,まず消化管において交感神経系および副交感神経系とは異なった第3の自律神経系が存在することが明らかにされ,従来の自律神経支配に対する一般的な考え方に疑問が生じてきた。すなわち1963年にMartinson & Muren1)は迷走神経刺激により生ずる胃の拡張反応が交感神経遮断剤によっても影響されないことから,迷走神経内にコリン作動性線維とともに,アドレナリン作動性線維とは異なる抑制神経線維が存在することを初めて示唆した。
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