呼と循ゼミナ一ル
気道における非アドレナリン作動性抑制神経について(5)
相沢 久道
1
1九州大学医学部附属胸部疾患研究施設
pp.1020
発行日 1982年10月15日
Published Date 1982/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204094
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前回まで述べてきたように非アドレナリン作動性抑制神経(NAIS)が確かに気道に存在すること,さらにその生理学的役割などが次第に明らかになりつつある。その結果現在では,気道においても抑制神経として主な役割を演じているのは,交感神経ではなくむしろ本神経系ではないかと考えるものもいるほどである。しかしながら,本神経系の神経伝達物質が未だ同定されていないこともあって,その機能の詳細については未だ不明の部分が少くない。本稿においてはこれまでの諸家の報告をもとにして本神経系の神経伝達物質についての研究の跡をたどってみたい。
一般に,ある物質が神経伝達物質であるためには以下の5つの条件を満たす必要がある。1)神経末端においてその物質が生成および貯蔵されること。2)その物質が神経刺激によって神経末端から放出されること。3)その物質をexogeneousに投与したさい,神経刺激による反応と類似した反応が得られること。4)その物質を不活性化する機構が存在すること。5)神経反応を調節する薬剤の作用によって,exogeneousに投与したその物質の反応も同様の変化をうけることなどである4)。
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