Japanese
English
解説
気管支平滑筋の薬理学
Pharmacology of Bronchial Smooth Muscle
北村 諭
1
Satoshi Kitamura
1
1東京大学医学部第3内科
13rd Dept. of Int. Med., Univ. of Tokyo
pp.353-362
発行日 1982年4月15日
Published Date 1982/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203957
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
気管支または肺組織の平滑筋線維収縮による肺の能動的収縮が肺の弾性反跳elastic recoilを変化させる重要な因子であるとする考え方は,一世紀以上にわたって正しいものと信じられてきた。すなわち気管支平滑筋の収縮が区域気管支の短縮をきたし,それが肺の収縮を起こすと考えられた。しかしながら,生食を満たしたイヌやネコの肺において,アセチルコリンはその圧容量曲線や静的圧に対してほとんど影響をおよぼさないなどの事実から,Radfordら1)は,気道収縮が区域気管支を閉塞して有効肺容量を減少させるような極端な場合を除けば,肺弾性に占める気管支平滑筋の役割はあまり重要ではないものと考えた。
その後Nadelら2)は,動物実験により再び本問題についてin vivoの検索を試みた。彼は喉頭刺激により気管支平滑筋を刺激し,肺動脈内ヒスタミン注入および硫酸バリウム塞栓の結果とを比較検討し,ヒスタミンおよび硫酸バリウム肺動脈内注入の場合には肺コンプライアンスに対する効果が見られたが,気管支平滑筋刺激では認められなかったという。
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.