Japanese
English
主題 平滑筋の抑制物質・1
消化管平滑筋の抑制調節機構—非アドレナリン作働性抑制神経について
Inhibitory innervation of the smooth muscle of the gastrointestinal tract with special reference to the nonadrenergic inhibitory nerve fibers
大賀 晧
1
Akira Ohga
1
1北海道大学獣医学部薬理学教室
1Department of Pharmacology, Faculty of Veterinary Medicine, Hokkaido University
pp.4-20
発行日 1971年2月15日
Published Date 1971/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425902883
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Ⅰ.はじめに
消化管の運動に対して,副交感神経は興奮,交感神経は抑制支配を行なつていると今日一般に信じられている98)。しかしながら,古くから副交感神経の刺激でも消化管平滑筋の弛緩を,また交感神経刺激でもこれらの収縮を起こし得ることが知られていた。自律神経刺激効果にみられるこの矛盾は,次章に述べる様に,比較的最近まで,十分納得のいく説明がされぬままになつていた。
近年,電子顕微鏡によりまつたく新しい形態がとらえられ,形態と機能の究明は各分野の研究者の関心の的となつた。自律神経興奮の平滑筋への伝達についての研究も,微小電極法など新しい方法の利用,また種々の特性の高い自律神経遮断薬を武器としてめざましく発展した。特に最近の5年間の研究によつて,消化管の壁在神経叢中に,非アドレナリン作働性抑制ニューロンの存在を推定する証拠が多くの人によつて報告された。私どもも,イヌ,ニワトリの胃に対する迷走神経支配について機械的反応を指標として調べ,これら動物の胃の迷走神経による弛緩は,上記抑制ニューロンの興奮によつて発現すると推定した126)135)136)147)。本稿では,私どもの研究を中心にして,消化管平滑筋は,交感神経のほかに,非アドレナリン作働性抑制神経によつても抑制支配を受けているという仮説を支持する研究を紹介したい。
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