呼と循ゼミナール
気道における非アドレナリン作動性抑制神経について(3)
相沢 久道
1
1九州大学医学部附属胸部疾患研究施設
pp.834
発行日 1982年8月15日
Published Date 1982/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204064
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気道におけるNAISの局在性についてはin vitroの系でRichardsonら8)がヒトについて,Middendorfら9)がヒヒについて検討している。その結果,ヒト・ヒヒにおいては気管・気管支・細気管支の各領域ともにNAISの分布が確認されている。興味深いことは,電気刺激によって引き起こされる弛緩反応がpropranolol投与によって全く影響をうけないことである。つまり電気刺激によって興奮させられる神経線維はNAISのみであり,アドレナリン作動性線維は存在しないことになる。これは,ヒト・ヒヒでの気道においては消化管と同様に,NAISが主たる抑制神経であることを強く考えさせる事実である。
またin vivoの系ではDiamondら10)によってネコを用いて局在性の検討が行なわれている。図3に彼等の実験結果を示した。彼等は肺抵抗(RL)を中枢気道抵抗の,動肺コンプライアンス(CL)を末梢気道抵抗の指標として用い,神経刺激による変化を観察している。図中Aは気道のトーヌスが正常のときには,迷走神経を刺激しても一過性の気道収縮がみられるのみで,弛緩反応は明らかではない。
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