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特集 心臓の大きさ
病理からみた「心臓の大きさ」
"Size of the heart" from pathological viewpoint:Some pathological problems on cardiac hypertrophy and dilatation
今井 三喜
1
Miki Imai
1
1東京女子医科大学第1病理
11st Dept. of Pathology, Tokyo Women's Medical College
pp.275-285
発行日 1981年3月15日
Published Date 1981/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203735
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I.「心臓の大きさ」の意味について
心臓は筋肉でできている中空臓器であるから,「心臓の大きさ」の変化は壁の筋量の増減,内腔の広さの変化の両方が問題になり,しかも,左右の心房,左右の心室の4つの部分がそれぞれ独立した変化をするから,それによって合成される心臓の大きさ,形が複雑にかわってくる。したがって「心臓の大きさ」の意味は「肝臓の大きさ」,「胃の大きさ」などのように簡単でない。
臨床的には,古くから行われている打聴診,単純X線写真による外形の観察に加えて,近来は血管造影,ECHO,CTによって壁の厚さや内腔の広さもわかるほか,心電図も加わって機能面からも心臓の大きさを知ることが可能になった。しかしこれらの判定も剖検によってたしかめられる「心臓の大きさ」との対比をつみかさねることによって,より正確になる筈である。そうはいっても剖検心は病気の末期状態であるから,病理側からいえば,臨床で得られた経時的な形態・機能の変化の裏づけがなければ剖検の意味も少い。ことに心臓は動的な臓器であるから,その感が深い。
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