体外循環における静脈拍動の研究，特に末梢循環に及ぼす影響について

Studies on effects of venous pulsation under the extracorporeal circulation especially upon the peripheral circulation

　模型人工肺の実用化と共に，近年体外循環技術の進歩は目覚ましいものがある。しかしなお解決を要する諸問題は多く，なかでもローラーポンプを使った完全体外循環における末梢循環不全の発生は長時間灌流時の最大の問題の一つと考えられる。ローラーポンプによる動脈拍動を欠いた定常流送血がその主な原因とされ，これまで各種自律神経遮断剤の投与，高流量灌流，拍動流送血等の改善工夫がなされてきた。

　一方微小循環を静脈側より見ると，呼吸による胸腔内圧の変動が生体内において静脈還流に大きな影響を及ぼす事は従来より知られており，胸腔内の陰圧が強くなると静脈還流は増加し平圧に近づくと減少する。この胸腔内圧の変化が静脈内に一種の拍動を生じさせて（静脈拍動），これが末梢静脈に伝わり微小循環に好影響を及ぼすと考えられている。

Using mongreal dogs effects of venous pulsation upon the peripheral circulation was studied.

A divice producing pulsatile venous flow was put in unilateral venous line of regional perfusion of both hind legs.