連載 診断力を上げる 循環器Physical Examinationのコツ・4
右室拍動,そのほかの拍動の診かた
山崎 直仁
1
1高知大学医学部附属病院老年病科・循環器科
pp.1380-1385
発行日 2015年7月10日
Published Date 2015/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223628
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右室拍動の診察で何がわかるか
胸部X線写真の側面像を見るとわかるが,健常人では,右室は胸鎖関節〜横隔膜までの長さの下1/3以下の範囲でしか前胸壁と接していない.そのため,痩せた若年者などを除き,通常右室の拍動は胸壁上で触知されない.しかし,右室が拡大すると前胸壁と接する範囲が上方にまで拡がり,胸骨に接する面積が大きくなり,胸骨左縁で傍胸骨拍動として認められるようになる.つまり傍胸骨拍動があると,右室の拡大,肥大が存在すると言える.肺動脈拍動,左房拍動はいずれも,正常では認められない.肺動脈拍動が認められれば,肺高血圧を強く疑う.左房拍動の存在は,左房の拡大,左房圧の上昇を示唆する.
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