綜説
DigitalisとCatecholamine
上羽 康之
1
Yasuyuki Ueba
1
1神戸大学医学部第1内科
11st Dept. of Int. Med., Kobe Univ.
pp.463-469
発行日 1980年5月15日
Published Date 1980/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203559
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心脈管系に作用する最も強力な作用物質として,体外性(exogenous)にはジギタリスが,内因性(endo—genous)にはカテコラミンが挙げられる。両物質の心臓に対する作用効果は,変力効果(inotropism)において同一方向性を有するも,その薬理作用は必ずしも同一でなく,また変時作用(chronotropism)は逆の作用を示す。このように作用効果を異にする薬物ではあるが,ジギタリス投与時,直接の心脈管に対する作用効果と,中枢神経系を介しての間接効果があらわれる。この際の交感神経活動の変容,すなわち内因性カテコラミン効果が相乗作用として,ジギタリスの作用効果を修飾することが知られている。その例として,ジギタリスの徐拍作用や,中毒症状における不整脈発生への関与が指摘される。その他,うっ血性心不全発症時,生体防禦反応として,交感神経活動の著しい亢進が認められるが,この状態にジギタリスを用いた場合,交感神経活動は臨床像の変化と共に著しい影響をうけ,心不全の改善と共に交感神経活動の亢進は漸次軽減される1)。
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