綜説
Catecholamine Cardiopathy
藤野 武彦
1
,
真柴 裕人
1
Takehiko Fujino
1
,
Hiroto Mashiba
1
1九州大学医学部第一内科学教室
1The 1st Department of Internal Medicine, Faculty of Medicine, Kyushu University
pp.928-939
発行日 1972年11月15日
Published Date 1972/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202430
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Catecholamine (以下CA)が,生体にとって必要不可欠なものであり,かつその薬理作用が,複雑多岐にわたることは,よく知られた事実であるが(表1),一方,CAの過剰が,逆に生体に種々の有害な作用を及ぼすことも,古くから報告されている。本稿では,CA過剰による心臓の変化,とくに,心筋の臨床的,病理学的変化について述べるが,これらの異常所見を示す疾患としてもっとも有名なものは,CA分泌腫瘍であるpheochro—mocytomaである。また脳血管障害(以下CVA),ことにくも膜下出血の症例に,pheochromocytomaと類似した心電図異常の見られることが多いが,その原因も最近は交感神経系—CAとの関連で論じられるようになってきている。さらに,もっとも純粋な形で,CA過剰と心臓変化を見られるものとして,治療上の必要から,あるいは過誤としてCAを過剰投与された症例がある。ところでCVAの場合は,現在では,心臓内に分布する交感神経の緊張によるCAの分泌増加に注目されているが,この点,心臓以外からのCAに支配されているpheochromocytomaやCA過剰投与例とは異なっている。心臓を中心にして考えれば,前者の場合は,内因性CAが,後者の場合は,外因性CAが作用を及ぼしていると言えよう。
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