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最近注目を浴びている小児の川崎病(急性熱性粘膜皮膚リンパ節症候群,MCLS)は,冠状動脈に特異的な病変が認められる1〜3)。さらに,この疾病の罹患児にみられる突然死も,その原因は冠状動脈病変にあると考えられている。川崎病の原因は現在も不明であるが,その症状および合併症に対しては,治療の必要があり,特に突然死と関係が深い冠状動脈瘤,心筋梗塞,冠状動脈血栓などは,外科治療法4,5)の対象となることもある。
今回,著者らは冠状動脈瘤に注目し,それが血行動態に与える影響を明らかにするために,実際に経験した症例を基礎とした流体力学的モデル実験を行った。川崎病の冠状動脈瘤は単独に存在することは,ほとんどなく,大部分が狭窄や血栓を伴うため,一般には狭窄部位に関心が集まりやすい。しかし,流路における圧力損失(エネルギー損失)は狭窄だけでなく,流路の断面積が急に増す拡大部分でも起こる6)。従って,流路の断面積が急拡大し,ついで急縮小する冠状動脈瘤にも同様に圧力損失が起こるはずである。これを正しく評価するために,冠状動脈瘤に相当する球状のふくらみをもつ流路を用いて実験を行った。
The hemodynamic effects of the coronary aneurysm, which is often found in Kawasaki's disease (muco-cutaneous-lymphnode syndrome, M. C. L. S.) together with other coronary arterial lesions including stenosis and thrombosis, were studied in vitro experiments.
Flow visualization studies were also carried out to obtain insight into the flow pattern in the region of aneurysm.
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