Japanese
English
原著
心臓外科における流出路狭窄解除とその流体力学的評価
Hydrodynamic evaluation of outflow tract stenosis in cardiac surgery
辻 隆之
1
,
須磨 幸蔵
1
,
菅原 基晃
2
Takayuki Tsuji
1
,
Kozo Suma
1
,
Motoaki Sugawara
2
1東京女子医科大学第二病院循環器外科
2東京女子医科大学心研理論外科
1Dept. of Cardiovascular Surgery, 2nd Branch Hospital of Tokyo Women's Medical College
2Dept. of Surgical Science, Tokyo Women's Medical College
pp.153-157
発行日 1978年2月15日
Published Date 1978/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203160
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心血管系は基本的には,ポンプである心臓と導管である血管とから構成された比較的単純なシステムである。従来より血行動態は,理論的なapproachが最も進んでいる分野で,わが国でも本領域に関して流体力学的な立場からの解説がみられるようになった1,2)。心臓外科領域においてもその試みがなされているが3,4,5),理論的な検討にとどまって,いまだそれが日常的な診療に組み込まれているとは言い難いのが現状である。心臓外科において,狭窄の解除は欠損孔の閉鎖とともに最も基本的な手術手技である。しかし欠損孔の閉鎖と異なり,狭窄の解除を完全に行うことは,意外に困難である。特に先天性心奇形のうちで,かなり頻度の高い疾患であるファロー四徴症の根治術成績が,心室中隔欠損症や心房中隔欠損症のそれらとは異なり,今なお良好とは言えないのは,例えば,その病態に左右肺動脈までに及ぶ高度の右室流出路の低形成を伴うものがあるためである。著者らは心臓の機能は圧発生にあると考え,後負荷に対する心室の耐圧能を重視している6,7)。その観点からも,右室流出路狭窄の解除は,右室の後負荷の解除に外ならない。特にファロー四徴症根治術の場合には,狭窄の解除の成否が,予後を決定的に左右すると言っても過言でないと思われる。
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