呼と循ゼミナール
呼吸の中枢生理における諸問題をめぐる最近の研究動向(1)
福原 武彦
1
1東京慈恵会医科大学薬理学教室
pp.722
発行日 1979年7月15日
Published Date 1979/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203394
- 有料閲覧
- 文献概要
1.自律機能調節と呼吸・循環中枢
生体の機能調節過程において,呼吸,循環機能などを含む自律機能は自律調節系の統合的活動によって外環境変化に対して最適活動パターンで応答し,内環境の恒常性を維持している。自律機能の中枢性調節機構は大脳皮質から脊髄にいたる各レベルに存在する。そして,それぞれのレベルで体性系調節機構と密接な機能的関連を保ちつつ活動している。自律機能の中枢機構のうち循環および呼吸の中枢性調節機構は各自律機能系のなかでも,より直接的に生体の生理的機能レベルを保つための基本的条件をととのえる機能系である。それゆえに両中枢機構に関する実験医学的ならびに生理学的研究は他の自律性中枢機構よりも遙かに早い時期にスタートがきられ,19世紀初頭以来の長い研究の歴史をもっている。しかし,中枢神経系における自律機能統合のメカニズムの理解にとって欠くことのできない基礎的知見,すなわち,呼吸中枢および循環中枢自体の神経生理学的中枢像,いわゆる循環中枢と呼吸中枢相互間(脳幹内自律性神経回路),さらに両中枢と他の自律性中枢機構との機能的連関に関する現在の生理学的知見は必ずしも十分なものとはいえない。
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.