呼と循ゼミナール
呼吸の中枢生理における諸問題をめぐる最近の研究動向(6)
福原 武彦
1
1東京慈恵会医科大学薬理学
pp.40
発行日 1980年1月15日
Published Date 1980/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203500
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10.呼吸性ニューロンの機能的意義とリズム形式機序に関する仮説
呼吸中枢機能の多様性から考えて橋,延髄の呼吸中枢回路網には種々の機能的意義をもった呼吸性ニューロンがふくまれているものと考えられる。
1)新しい呼吸性ニューロンの同定法 これまで,呼吸性ニューロンはニューロンの周期的活動を呼吸曲線または横隔神経活動と同時に導出記録して呼吸周期との周期の有無によって同定され,さらにニューロンの活動相と呼吸周期との対応により吸息性,呼息性ニューロンなどの種々の型に区別されてきた。従来,一部の研究者は安易に,活動位相が同型のニューロンは機能的にも均一であることを仮定してきた。しかし,ウサギ脳幹の呼吸性ニューロンと横隔神経活動との相互相関分析法を用いて同定を行なった我々の最近の成績によると,自己および相互相関係数値は同型のものでも個々の呼吸性ニューロンにより著るしく異なるにとが示された。この事実は今後,呼吸性ニューロン群成員の機能的意義および呼吸中枢の機能構成の考察にとって重要な知見である。
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