呼と循ゼミナール
呼吸の中枢生理における諸問題をめぐる最近の研究動向(2)
福原 武彦
1
1東京慈恵会医科大学第二薬理学教室
pp.976
発行日 1979年9月15日
Published Date 1979/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203430
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5.呼吸中枢機能の多様性
最近の研究により,脳幹に局在する呼吸中枢の機能はこれまで考えられてきたように,単に脊髄前角の呼吸筋支配運動ニューロン群へ周期性興奮をおくり,呼吸運動の制御,調節を行う神経機構であるに留まることなく,その呼吸運動制御機能に加えて,多様な機能的意義をもつ可能性が示されつつある。
換気調節の面から見て,呼吸中枢機能には,ⓐ呼吸リズムの自動的形成,ⓑ呼吸筋運動ニューロン群活動制御,ⓒ末梢および上位脳から呼吸中枢へ流入してくる求心性入力の受容,統合,情報処理機能があげられる。さらに広く,中枢神経系内における一般的機能統合の面から見ると,呼吸中枢は,ⓓ間脳,脳幹,脊髄における他の体性および自律性諸機能系との連関のもとに自律性中枢機能の構成要素としての活動,ⓔ呼吸中枢と上位脳諸部位との間に存在する機能的結合を介して非特異的に脳諸部位の興奮レベルの調節に重要な役割を果たしている可能性があると考えられる。
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